バレエの神髄
本公演は2013年7月13から2013年7月15日まで開催しました。
吉田都さんからのメッセージ
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「バレエの神髄」は、2010年の第1回目の公演にも出演しました。
ルジマトフさんと私は同年代なので、彼が変わらず魅力的に踊っているのを見ると、とても心強く、嬉しく思います。
ガラ公演の楽しさは、いろいろな国から集まるソリストたちの演技と、様々な作品を楽しめることです。今回私が踊るのは、ロマンティック・バレエの代表作「ラ・シルフィード」です。手を伸ばすとフワっと逃げてしまうという空気の精を踊ります。ブルノンヴィル版は1836年にデンマークで出来た作品で、細かい足さばきが多く難しい作品ですが、その年代にこのよう表現が生まれたのは素晴らしい事で、デンマーク・ロイヤル・バレエが守ってきた作品を大切に踊りたいと思っています。
皆さま、どうぞお楽しみください。
強烈なオーラを放つカリスマ、ルジマトフと至宝のダンサー達の競演!!
『海賊』(アリ役)、『バヤデルカ』(ソロル役)など、様々な古典バレエで名演技を披露してきた彼の、現在、最高に似合う役が『シェヘラザード』の "金の奴隷"だ。アラビアのハーレムを舞台に、王の留守中、その寵姫ゾベイダと激しく愛し合う奴隷。しなやかな身体は野性的で、褐色の肌はオリエンタルな香気を放つ。
ゾベイダ役はエレーナ・フィリピエワ。キエフの名花として長年愛されてきたプリマは、円熟のときを迎え、妖艶さと、今なおピュアな魅力を併せ持つ。その二人の個性が絡み合う『シェヘラザード』全幕。濃厚なエロティシズムは、崇高なまでに美しい。刺激的な舞台となるに違いない。
英国ロイヤルバレエのプリンシパルとして長く活躍した日本の至宝、吉田都の『ラ・シルフィード』も見逃せない。青年に恋する"空気の精"。重力を感じさせない軽やかなジャンプ、クリアーなステップは、まさに妖精の舞い。そんな妖精が、一途に恋した青年ジェームズと森の中で戯れるシーンが上演される。ジェームズ役は、すでに共演したことがあるキエフ・バレエのトップ・ダンサー、セルギイ・シドルスキー。清涼感あふれる舞台が期待される。
もう一人、日本が誇るダンサー、岩田守弘は、『海賊』と新作を踊る。ボリショイ・バレエただ一人の日本人ソリストとしてキャリアを築き上げた後に、ロシア国立ブリャート・バレエ芸術監督として新たな道を歩み始めた岩田。その"現在"が明らかになる。
ルジマトフは、アンドローソフ振付の『ボレロ』出演も予定されている。以前、ソロで踊ったことがあるが、今回はキエフ・バレエの6人のダンサーとともに披露される。アンドローソフは、モイセーエフ・バレエ出身で民族舞踊を巧みに取り入れる人気振付家。独創的な世界が繰り広げられる。もう一作、『The Beginning』は、エイフマン・バレエのスタイリッシュなプリマ、E・クズミナがルジマトフのために振り付ける。「誕生から終焉」という意味深なテーマは、進化し続ける脅威のダンサー、ルジマトフに、なるほど相応しい。
フィリピエワも、『シェヘラザード』に加え、『瀕死の白鳥』というまったく異なるタイプの、しかしどちらも今の彼女が得意とする作品を踊る。舞踊の求道者たちの磨き抜かれた芸術の饗宴。忘れられない瞬間がそこにある。
ご注意とお願い
※チケットをお求めの際は、あらかじめ下記の事項をご了承下さいますようお願い申し上げます。
・記載されているキャスト、プログラムは4月15日現在の予定です。やむを得ない事情により、上演演目、出演ダンサー等が変更となる場合もございますが、お買い上げ頂きましたチケットのキャンセル及び変更はできませんのでご了承下さい。
- ※会場内における飲食、喫煙はご遠慮下さい。
- ※写真撮影、録画、録音等は一切禁止させて頂きます。
- ※開演後のご入場は制限させて頂く場合がございます。
- ※演奏は特別録音テープを使用致します。
- ※未就学児のご入場はご遠慮下さい。
予定演目
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第1部 ガラ・コンサート
「パキータ」より クーハリ、ストヤノフ、キエフ・バレエ
音楽:L.ミンクス 振付:M.プティパ
「THE BEGINNING」日本初演!! ルジマトフ
音楽:ブライアン・メイ 振付:E.クズミナ
「ドン・キホーテ」よりパ・ド・ドゥ エフセーエワ、シドルスキー
音楽:L.ミンクス 振付:M.プティパ
「海賊」よりパ・ド・ドゥ チェプラソワ、岩田守弘
音楽:R.ドリゴ 振付:M.プティパ劇場の都合により、ハニュコワからチェプラソワに変更となりました。
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第2部 ガラ・コンサート
「ロミオとジュリエット」よりバルコニーの場面 クーハリ、ストヤノフ
音楽:S.プロコフィエフ 振付:A.シェケロ
「タイトル未定」新作初演!! 岩田守弘
「瀕死の白鳥」 フィリピエワ
音楽:C.サン=サーンス 振付:M.フォーキン
「ラ・シルフィード」よりパ・ド・ドゥ 吉田都、シドルスキー
音楽:H.レーヴェンショルド 振付:A.ブルノンヴィル
「ボレロ」 ルジマトフ
音楽:M.ラヴェル 振付:N.アンドローソフ -
第3部 「シェヘラザード」(全1幕)
ルジマトフ、フィリピエワ、キエフ・バレエ
音楽:N.リムスキー=コルサコフ 振付:M.フォーキンアラビアの宮殿。シャリアール王の豪華なハーレム。
暇を持て余しているシャリアール王のかたわらには、美しい寵姫ゾベイダやハーレムの女たち。宦官の提案で、王のためにハーレムの女たち(オダリスク)がエキゾチックで挑発的な踊りを披露する。
その場にいる王の弟シャザーマンは、兄シャリアール王に寵姫ゾベイダの不貞を告げ口する。王はそれを確かめるため、狩りに出掛けると偽り、寵姫たちを残し宮殿を後にする。
王たちが去った宮殿に、寵姫ゾベイダとハーレムの女たちの歓声があがる。女たちは、奴隷たちの部屋の鍵を持つ宦官を巧みに操り、奴隷の部屋を開けさせる。そこから飛び出してきたのは、たくましい肉体を持つ奴隷たち。宦官が最後に開けた部屋からは、寵姫ゾベイダのお気に入りの奴隷が鮮やかな金の衣装姿で出てくる。男女入り乱れての淫らな大饗宴がはじまる。
寵姫ゾベイダと奴隷も欲望の高まりのまま、お互いの愛撫に身体を燃え上がらせて踊る。その踊りが絶頂に達したとき、シャリアール王と弟シャザーマンが戻ってくる。その有り様を目の当たりにした王は、家来たちに全員を殺すように命じる。ひとり残った寵姫ゾベイダは、シャリアール王に命乞いをするが、それが聞き入れられない知ると、自らを短剣で刺し、王の足元で絶命する。
すべてをなくした王は、悲しみのなかで立ち尽くす。
出演予定 ソリスト
劇場の都合により、ハニュコワからチェプラソワに変更となりました。
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ファルフ・ルジマトフ
(レニングラード国立バレエ芸術顧問)常に完成度が高く感動的な舞台をみせてくれる、まさに"バレエの神髄"を究めたアーティスト。世界の舞台でダンサーとして活躍し、レニングラード国立バレエの芸術顧問としても手腕を発揮。日本では3年ぶりとなる全幕「シェヘラザード」は必見!
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Photo:加藤孝
吉田都
抜群の音楽性とずば抜けたバランス感覚を持ち、輝かしい気品が溢れるバレリーナ。英国ロイヤルバレエで長年にわたりプリンシパルを務め、世界から賞賛を浴びている。現在はフリーランスのバレリーナとして各方面で活躍中。
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エレーナ・フィリピエワ
(キエフ・バレエ ソリスト)キエフ・バレエのトップ・プリマ・バレリーナ。強靭なテクニックと情感溢れる表現力で日本でも数多くのファンを持つ。日本では3年ぶりの共演となるルジマトフとの「シェヘラザード」に注目が集まる。
インタビュー動画はこちら -
岩田守弘
(ロシア国立ブリャート・バレエ芸術監督)小柄ながらも抜群のテクニックと表現力を誇り、個性的な役柄を数多くレパートリーに持つ。振付家としても活動し、プロデュース公演なども手がける。ボリショイ・バレエでファースト・ソリストとして活躍後、現在はロシア国立ブリャート・バレエ芸術監督を務める。
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エレーナ・エフセーエワ
(マリインスキー・バレエ)マリインスキー・バレエのソリスト。2008年までレニングラード国立バレエのソリストを務め、その後マリインスキー劇場へ移籍。豊かな表現力と、群を抜くその演技力には定評がある。
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カテリーナ・クーハリ
(キエフ・バレエ)キエフ・バレエのプリマ・バレリーナ。卓越したテクニックと、ロマンティックな表現力とを併せ持つ。キエフ・バレエ次世代を担う期待のプリマ。
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エリザヴェータ・チェプラソワ
(キエフ・バレエ)2006年にワガノワ・バレエ・アカデミーを卒業後、マリインスキー・バレエに入団。2012年キエフ・バレエに移籍。同年にキエフ・バレエ日本ツアーに参加し、今年の1月にキエフ・バレエ日本ツアーの名古屋公演で「眠りの森の美女」のオーロラ姫を踊るなど、現在キエフ・バレエソリストとして国内外の公演で活躍中。
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セルギイ・シドルスキー
(キエフ・バレエ ソリスト)端正で気品のある身のこなしと洗練されたダンス・センスを持ち、数多くの舞台で活躍。優れたテクニックと優雅な表現力で観客を魅了するキエフ・バレエが誇るダンスール・ノーブル。
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オレクサンドル・ストヤノフ
(キエフ・バレエ)ノーブルかつダイナミックなキエフ・バレエのプリンシパル。クラシックの基本に忠実な動きは美しく、高度なテクニックと豊かな表現力を併せ持つ。
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Kyiv Balletキエフ・バレエ ー タラス・シェフチェンコ記念ウクライナ国立バレエ ー
140余年の歴史を誇るタラス・シェフチェンコ記念ウクライナ国立オペラ・バレエ・アカデミー劇場を本拠地とする。同劇場は、モスクワのボリショイ劇場、サンクトペテルブルグのマリインスキー(キーロフ)劇場とともに旧ソ連における三大劇場と称される。ラトマンスキー、サラファーノフ、ドヴォロヴェンコ、コジョカルらのスター・ダンサーを輩出している名門バレエ団。
ヨーロッパ各国やアメリカ等で海外公演を行う。日本でも、1972年以後来日公演を重ね、成功を収めている。「くるみ割り人形」「白鳥の湖」「眠りの森の美女」「ドン・キホーテ」等の古典から、「愛の伝説」「赤いけし」「スパルタクス」や、ウクライナならではの「森の詩」等、幅広いレパートリーをもつ。
上演演目/公演日程
※マーク:メッセージカードを付ける事が可能。
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「ボレロ」(出演:ルジマトフ)を振りつけたニコライ・アンドロソフから、今回の公演に対しての応援メッセージが届きました。
今回、「バレエの神髄」で私の作品を上演していただいて、とても嬉しく思っております。
ファルフ・ルジマトフは、本当に素晴らしいダンサー。
実際に彼と親しくなったのは15年以上前。日本でのガラ公演で一緒に仕事をしました。その時の公演はとても良い思い出となっていて、今でも懐かしく思い出します。それ以来、彼とは何度も仕事をしていて、私のカンパニー公演に出演してもらったり、彼の公演に私の作品を出したりしています。私は、何度か「ボレロ」という作品を振り付けています。「ボレロ」は、ルジマトフがこの曲で踊りたいと熱望していて、創作に至りました。私のカンパニーの20周年記念に彼に出演してもらう際に、バレエ団の作品として作っています。その時はフランスでも公演を行って大好評でした。ルジマトフが一人で踊るものは、別の作品として作り直しています。衣装が同じなのは、上半身裸であれば「これぞルジマトフ!」ということで一緒なんです(笑)。2011年の日本の公演のために作り直しました。
ルジマトフは、ダンサーとして唯一の存在。彼の動きの特徴や性格までよく知っているから、作品は作りやすい。彼しか出来ない動き、彼にしか無い物を表現して、ルジマトフと一緒にこの作品を作りました。日本での公演の成功を祈っています!
ニコライ・アンドロソフ
モイセーエフ・バレエ出身。ダンサー、振付家として活躍。現在は、モスクワで自身のカンパニー「ロシア・フォーシーズンズ・バレエ」を主催。数多くの作品を振り付け、各地で上演を行っている。
※今回「バレエの神髄2013」で上演するのは、2011年日本初演の「ボレロ」に、6人の女性ダンサーを加えたもの。前回の「バレエの神髄2011」で、「東日本大震災で被災した日本の皆さんへの思いを込めて」とルジマトフが特別上演を行った作品の再演となる。