夏休みに行うこのバレエ・ガラの公演は、名作バレエのハイライト･シーンを集めた見どころ満載のバレエのフェスティバル。子ども達はもちろん、バレエ初心者、目利きのバレエ･ファンまでを楽しませることは間違いない。
　今年の冬にも来演して変わらない人気を博したキエフ・バレエ。高いバレエ･テクニックと豊かな表現力を持ったダンサー達による舞台は、一度見たら必ずまた見たくなるほど心を惹きつける。今回上演されるのは、キエフ･バレエが長い伝統のなかで踊り継いできた珠玉の作品ばかり。バレエ団を牽引するトップ･ダンサーと、世界で活躍するキエフ出身のダンサー達が出演する。
　多彩なプログラムから主な作品をあげると「眠りの森の美女」の第１幕から群舞による美しい“ワルツ”、有名な“ローズアダージョ”で求婚者の王子達を相手に踊るのは、今冬に「白鳥の湖」全幕で美貌とテクニックで話題となったアンナ･ムロムツェワ。「海賊」第２幕のパ･ド･ドゥではメドーラ役をジャンナ･グバノワ（モスクワ音楽劇場）、海賊アリをティモフィー･ブカヴェツ（トゥールーズ･キャピトル･バレエ）、華麗な女性的舞踊と共に男性的でダイナミックな踊りで見せる。
　トップの実力と存在感を発揮するニキータ･スハルコフが「白鳥の湖」の第1幕2場の王子役で、ユリア･ルキアネンコ（ミハイロフスキー劇場バレエ）のオデットと抒情性あふれるアダージョを踊るのも楽しみ。「くるみ割り人形」第2幕は群舞によるワルツ、続くパ･ド･ドゥは可憐なクララ役ムロムツェワと王子役ブカヴェツのコンビ、派手な回転やジャンプで盛り上げる「ドン･キホーテ」でキトリ役のグバノワと粋なバジル役スハルコフが踊るグラン･パ･ド･ドゥ等々、見どころは尽きないのである。

(舞踊評論家 林愛子)