今ボリショイ・バレエで華々しく活躍している、デニス・ロヂキンとエレオノーラ・セヴェナルド。２人は、かつてボリショイのスターとして活躍して現在ワガノワ・バレエ・アカデミーの校長を務めるニコライ・ツィスカリーゼの教え子でもあります。ツィスカリーゼが、２人のダンサーとの出会い、そして彼らの魅力を語ってくれました。

―私が二人に出会ったのは、それぞれ違う時期でした。
デニス(･ロヂキン)と出会ったのは、彼が2009年にボリショイ劇場の私のクラスにレッスンに来たのが最初です。一方、初めてエーリャ(エレオノーラ・セヴェナルド)を見たのは、私が既にペテルブルグでワガノワ・バレエ・アカデミーの校長として仕事をしていた2013年で、「くるみ割り人形」の「雪の精」のリハーサルでした。

デニスは、長年に渡ってボリショイ劇場のトップ・ダンサーとして活躍しています。私は彼について、現在ボリショイ劇場のすべてのダンサーたちの上にいると思っています。しかし私は、彼ならもっと上に行けるだろうと期待しています。 デニスは、甘えん坊なところもありましたが、とても素直で優しい子でした。劇場での４年間は、真剣そのもので、彼は非常によく学び、文句を言わずに私の言うことによく従いました。そして、私と作り上げたすべてのものを確実なものにして、幅を広げました。その経験が、彼をプリンシパルのレベルまで引き上げたのです。 また、デニスは、「カルメン」のホセ役で私を驚かせたことがあります。私はその仕事には関わっていませんでしたが、その出来栄えをとても気に入り、彼が情緒的で優雅な踊りをものにしたことに満足しました。

エーリャは才能豊かな生徒で、まだ生徒のうちから、ミラノ・スカラ座、パリ・オペラ座、ボリショイ劇場、マリインスキー劇場、ロンドン・コロシアム、日本など世界中の主だった劇場で踊り、コンクールで優秀な成績を修め、非常に多くのレパートリーを踊っています。 ですから、彼女がボリショイ劇場に入った時には、既に、とても華々しく自分の存在を発揮していました。しかし、まだ彼女は自身を代表するような役柄には出会っていません。これからが期待されるダンサーです。

彼らは、現在のバレエ界で実力を伴う最も美しいカップルですから、きっと日本の観客の皆さんを魅了することでしょう。

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アンジェリーナ・ヴォロンツォーワは、ミハイロフスキー劇場バレエの公演で最も多くの主役を任される、「今」まさに見逃せない劇場の看板バレリーナです。どんな役でも踊りこなせる高い身体能力を持ち、確かなテクニックで観客を圧倒するヴォロンツォーワに、今回披露する3作品について話を聞きました。

―今回の公演では、ナチョ・ドゥアトの『ウィズアウト・ワーズ』と『海賊』、『ドン・キホーテ』を踊られますが、それぞれの作品について教えてください。

「Ballet Muses-バレエの美神2021-」で古典作品と現代作品の両方を踊ることができること、そしてドゥアト作品を皆さんにお見せできることを大変うれしく思っています。
古典の『海賊』はとても難しいですが、技術のすべて、美しさ、優美さなど、ダンサーの様々な面をご覧いただける、バレリーナにとって見せがいのある作品でもあります。テクニカルなフェッテ、美しいアダージオもあります。
『ドン・キホーテ』も好きな作品で、鮮やかで、私に合っていると思います。
それからドゥアト監督が彼の作品を踊ることを許可してくれて嬉しいです。『ウィズアウト・ワーズ』は私の大好きな作品の一つで、音楽も美しく、歌うようなやわらかな振付で、音楽性に富んでいます。

―日本の観客の皆さんに一言お願いします。

是非、今回の公演を観に来てください！皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。 私は日本が大好きです。これまで日本に4回行ったことがありますが、毎回、夢の国に行ったように感じました。また、日本の皆さんの穏やかさやメンタリティーも、世界のお手本だと思っています。無事に公演ができるよう願っています！

今回の公演でも大注目のアンジェリーナ・ヴォロンツォーワにこれまでのバレエ人生についても話を聞きました。また、ボリショイ・バレエ時代にリハーサル教師を務めた、ニコライ・ツィスカリーゼが語るヴォロンツォーワの魅力も下記ページにて公開中！ぜひご覧ください。

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－今回｢Ballet Muses｣へ出演する意気込みを教えてください｡

過去に錚々たるメンバーが出演していた｢Ballet Muses｣に今回参加することができて､とても幸せです｡全く違うバレエスタイルや文化の下で育ったダンサー達と一緒の公演に参加することは､勉強になりますし､刺激を受けることが多いので､とても楽しみにしています。

－出演するダンサーで過去に同じ舞台に立ったことがある方はいらっしゃいますか？

初めてお会いするダンサーばかりです！若い方もいらっしゃるので楽しみです。今回私は同じサンフランシスコ･バレエのアンジェロ･グレコと､初めて日本の皆様の前で一緒に踊ります｡

－アンジェロ･グレコさんについて教えてください。

彼は舞台の上でも､劇場の外でもソウルメイトで､弟みたいな存在ですが､本当に大切なパートナーに出会えたと思っています｡｢どれだけパートナーシップがパフォーマンスを変えるか｣ということを日本の皆様に観てほしいと思います！
彼はいまサンフランシスコ・バレエの芸術監督ヘルギ･トマソンの一番のお気に入りのダンサーです｡彼の踊りは瑞々しいけど､成熟した面もあり､風格があります｡私は初めて一緒に踊った時から不思議な縁を感じています｡

－初めて一緒に踊った時から息がぴったりだったのでしょうか？

2018年のロベルト・ボッレ&フレンズの公演で､ロベルトが紹介してくれて､初めて一緒に組んで踊りました｡その時はそれほど踊りやすいとは思わなかったし､公演の本番中リフトで転落もしました…!!私は落とされたりするとすぐ怒るタイプなのですが､なぜかアンジェロには怒れなかったんですよね｡もちろんアンジェロは公演後謝ってくれました｡1000回くらい(笑)でも､私はなんとなく不思議な縁を感じて､｢これからもずっとこの人と踊るんだろうな～｣と思いました｡これが私たちの始まりのストーリーです｡

－サンフランシスコ・バレエはどんなバレエ団ですか？

プリンシパルはみんな異なるタイプのダンサーです｡やわらかいダンサー､力強いダンサー､女優のようなダンサー､いろいろな要素、違う味を持っています｡ヘルギ監督は､一人一人違う輝きがあることを理解し､皆が同じである必要はないと､個性を大切にしてくれています｡そのおかげで、皆が伸び伸びと踊れていて､自分らしさを大事にできるカンパニーだと思います｡

－最後に日本の皆様へのメッセージをお願いします。

私にとって日本の皆様の前で踊ることはとても貴重です｡いつもあたたかく応援してくださいますので、安心して踊ることができます｡今回はサンフランシスコ･バレエの倉永美沙を日本の皆様に観てほしいと思います｡

©Erik Tomasson