ポーランド国立ワルシャワ室内歌劇場オペラ
弾ける楽しさ、絶妙なテンポ。
すぐ目の前であなただけのために演じられるかのようなオペラ。
超人気のオペラ劇場がまたやってくる!
また、あの楽しい舞台がやってくる。彼らのオペラを見ると、軽妙洒脱、当意即妙、和気藹々といった四文字熟語が、つい、思い浮かんでしまう。
ヨーロッパ各国での公演ほか、来日公演も10年を超す大人気の「ワルシャワ室内歌劇場オペラ」。
それほどまでに、かれらが上演するオペラは生き生きとしていて、軽快なテンポを持ち、時にクスっとした笑いを誘う。
そして、最後には見る人すべてを一様に幸せな気分にしてくれる。時代や様式など原典をたどる音楽的研究を踏まえてのステージでありながら、
古くささは微塵も感じられず、むしろ、現代性を感じてしまう。そこが人気の秘密なのだろう。
1999年の初来日公演ではモーツァルトの『フィガロの結婚』一本で日本中の話題をさらってしまった。
2006年「モーツァルトイヤー」(生誕250周年)の日本公演では『フィガロ』『魔笛』など主要オペラ6作品の一挙上演でモーツァルトファン・音楽ファンの心を掴んでいる。
それもそのはず、彼らはモーツァルトの全オペラ作品を常時(!)上演できる態勢にある、世界唯一のオペラ団体なのだ。
そうした個性でこれまでに日本にはほぼ2年おきに来日し、今回が6度目の来日となる。
さて、今回の上演演目は得意のモーツァルトオペラから『フィガロの結婚』と『魔笛』、そして本邦初上演となるウェーバーの『魔弾の射手』の3本だ。
『フィガロの結婚』は来日の度に上演しているが、何度見ても新鮮。オペラブッファ(世話物的内容の喜劇)として作曲したモーツァルトの気持ちがはっきりと感じられる舞台だ。
『魔笛』も第2回目の来日からの定番上演作品。お伽噺なのだが、哲学的意味を持たせたジングシュピール(歌芝居)の世界はモーツァルトならでは。
どちらもお馴染みの名曲が次々と登場して楽しい限り。
そして、『魔弾の射手』。「狩人の合唱」などで知られるこの名作も台詞と音楽で進行するジングシュピール(歌芝居)で、演技者揃いのワルシャワ室内歌劇場オペラにぴったりの演目。
さらにもう一つ付け加えるならば、モーツァルトの妻コンスタンツェはウェーバーの従姉であり、モーツァルトとウェーバーは親類関係なのである。
この劇場がこの作品を取り上げるのも深く頷ける。
1000人以上収容の会場でも、まるで目の前で展開されているかのような近しさ。初心者には敷居の高いように思うオペラは、彼らの手にかかると、「オペラって、こんなに楽しいものなんだ!」
と素直に受け入れられる親しみやすさ。同じ作品を上演するにしても、大掛かりな舞台よりも、彼らのステージの方が作品の精神が手に取るように分かってしまう不思議な魅力。
ヴィヴィッドでフレッシュなステージだから、何度見ても、面白い。世界に類を見ないオペラ劇場の来日をぜひ、楽しんでいただきたい。